まだ無名の風景たち

そしてその情景

「あなたは誠実で優しい人だから、きっといいことがあるよ」

 出会う女性が僕にこの言葉をかけるのは何回目だろう。

 就活で言うところのお祈りメールみたいなものなんだろうな。

 

 思い出してみても、自分はいつもいい人どまりのことが多かった気がする。
 誠実で優しくしてるのが僕のアピールなんだけど、この結果を見る限り、周りの人にとって別段なんでもないことらしい。
 空気か水みたいなものなんだろう。

 

 世の中、積極的で、強引な人間のものなんだろうな。周囲を見渡しても、結婚するなり、仕事で成功してる人間はみんなそうだ。

 俺はそういうタイプじゃないな。

 

 さあ、これからどうやって生きていこうか。

 

「あなたは誠実で優しい人だから、きっといいことがあるよ」

 

 なんだか俺はこれからもずっとこの言葉を聞き続けるような予感がした。